5月5日、みなかみ町の利根川にて、他社が主催するラフティングツアーで死亡事故が発生しました。その捜索救助に弊社のガイドが参加しましたが、力及ばず残念な結果になり、大変申し訳なく思います。被害者の方、ご遺族、ご友人の皆様に深く哀悼の意を表します。
他の河川も含め、今後の事故防止につなげるために、この事故を社内で分析した結果と、今後の弊社の対策を以下に公開します。なお以下の内容は、実際に捜索救助に参加した弊社独自の見解であり、数値等は今後修正されることがあります。

事故概要

5月5日、諏訪峡の竜ヶ瀬ポイントでボートが転覆し、流された顧客1名が行方不明となった。通報を受けた弊社ガイドを含む有志ガイドにより、日没まで捜索したが発見できなかった。水位が下がった翌日6日早朝から再開された捜索により、転覆場所から200m程下流のフリッパーズポイントにて、右岸から2m程の場所に横向きに沈んでいた全長約7m、直径20cm程の流木に要救助者がとらわれているところを発見し救助したが、病院で死亡が確認された。
状況から、流されている最中に足が水面から下がってしまうことにより、水中の障害物(岩やテトラポット、流木等)に足や体、装備がとらわれてしまうエントラップメント現象が発生したと思われる。また、発見された際に、ヘルメットやライフジャケット等を装着していない状況だったが、現場では水流が強く、エントラップメント後にそれらが身体から脱落する可能性は高かった。また、エントラップメントが発生するとライフジャケットの効果は非常に限定的なものとなり、救助は時間が掛かり困難なものとなることが多い。

対策

1, 流水で流される際に足や体が障害物にとらわれたり、衝突して負傷するリスクを軽減するために、流される際の姿勢(ホワイトウォーター・フローティング・ポジション)をとること及びその重要性について、弊社では集合場所での掲示物や、出発する前のセーフティートーク、ツアー中にも説明しているが、さらなる徹底をはかり、顧客が理解し実行するためのガイド技術の更新を継続する。

2,川の地形変化や流木の発生状況に注意し、あらたに重大な危険性が発見された際には、その除去や安全対策を実施した後に周囲を通過すること、また安全対策が困難な際は迂回することを徹底し、またその状況を他社と積極的に共有する。

以上、エントラップメントは流水でのスポーツで落水した際、アマチュア、ガイドツアーを問わず、どこの河川でも起こりうる事故です。ラフティング特有のスリルに伴う楽しさと、安全が両立できるよう、さらなるガイディング技術の向上と更新(お客様への安全説明を理解し、実行していただく技術、救助法、ファーストエイド、操船技術等)につとめていき、皆様に安心してラフティング等のアウトドアスポーツを楽しんでいただきたいと考えております。

もしすでにご予約のお客様ご自身、またはご家族様がラフティングツアーへの不安をお持ちでしたら、キャンセルしていただいてもキャンセル料はいただきませんので、ご遠慮なくご連絡ください。

H2Oガイドサービス代表

横山 巌